社会保障とイノベーション


ある程度、人減らしをしても文句は言われないわけですよ。もっと文化的な暮らしがしたければ、別のところで働けばいい。逆説的ですけど、すぐクビにできるから企業は人を雇いやすくなって、雇用が増えるはずです。働きたい人はそういう会社でまた働けばいいんです。

「働くのが好きで働いている」というような一握りの人が働いて、社会の富を作り上げている。そういう人は、ベーシックインカムがもらえるとしても、そのまま働くと思いますよ。だって、好きで働いているんだから。そういうワーカホリックの人たちが、イノベーションを生み出していくんです。

政府の年金運用は間違い 全員に毎月8万円一律に配れ
http://www.j-cast.com/2009/08/18047581.html

デロングが蔵出しエントリを立てて、所得の不平等は確かに親から子に引き継がれる要素が大きいが、それにはIQの遺伝は僅かしか関与しないことを強調した

所得の不平等とIQの遺伝
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20090817/iq_and_income


社会保障の必要な理由は上の2つに集約されるのではないかと思います。
つまり、すべての人は等確率に有能であり、それゆえイノベーションを起こすかもしれない機会(リスクテイクの機会)を与えなければいけない、ということです。


イノベーションは「既存の物」同士の新しい結合と言われます。
「既存の物」というのは概念として人の中にあるため、この結合は以下の状況で起こると考えられます。

  • (1) 人 − 人のネットワークで概念が混ざるとき。
  • (2) 人 − 物(媒体)のネットワークで概念が混ざるとき。


これまでのネットワークは、(1)のケースでは何らかの学校、学会、協会といった組織、(2)だと、図書館、学校、などの知識を蓄える建物であったと思います。一方向のものとしてはテレビ、ラジオなどでしょうか。電話、手紙もありますが、知人などの範囲でネットワークとしては限られそうです。これに対して現在のインターネットは距離に依存しない、まったく現実では接点がない人と接点を持つことができます。Webのハイパーリンクをたどってとか、同じ書物のレビューをみてとか、検索エンジンのキーワードでとかです。


ここで、このネットワークが十分密になったら面白いことが起こるのではないかと思っています。イノベーションの連鎖が起こっていく一種の相転移的な状態になるのではないかと思うです。同じ概念を適度に共有する人が自己組織化的に集まって新しい概念を生み出していき、その概念がまた新しい…となるのではないかと。


人は自己裁量の余地がなく確実な仕事を要求されるときにはなるべくリスクを抑えて、仕事を遂行するような行動をとると思いますが、ある程度自由に使えるものがあれば工夫をして新しい方法を試しやすくなると思います。それが成功すると次回からの生産性はアップします。

オープンソースの成功や、Googleの20%ルールはこれがバックにあるのではないかと思っています。


ベーシックインカムをすることでこの傾向が強化されるとするとネットワークの状態によっては面白いことになるのではないかと思います。