「キラーフレーズ」がキラーではない理由

仕事では、周りの人をうまく使えると早く仕事が済みます。

確かにこれを逆に自分が言われたら、素直に受けてしまいそうですw

相手を動かすキラーフレーズ
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(建前)「この前の本良かったよー」→(本音)『やば!もらったけど読んでねえYO』

同人女の建前と本音
http://doujin30.livedoor.biz/archives/52427525.html


上の2つは、実際の状況を、不快にならない形で表現しているという意味では同じです。社会的にも社交辞令、詭弁としてよく使われていると思います。実際に使われた人からすると、気分を害することもないですし非常に便利な言い回しです。ただし、特定の条件のもとではという制約がつきます。


特定の条件とは、その言い回しが十分使われていないというようなときを意味します。
ここで言葉の意味はどうやって決まるかということを考える必要があります。言語とは、世界と記号の対応ですが、その意味は言語ゲームによって決定されていきます。言語ゲームとは、ウィトゲンシュタインによって作られた考え方で、言葉とそれが使われる状況の積み重ねで言葉の意味が決まっていくというものです。


「相手を動かすキラーフレーズ」の例で言うと、「3分だけ」という言葉は、通常の3分と言う時間経過、カップラーメンが出来上がる状況、砂時計の3分など、これまで3分という記号が使われてきた状況から3分という意味が決まってきます。つまり、通常の時間経過の3分という意味です。


しかし、「3分だけ」という言葉で人をつかまえた時に3分という意味が変化してきます。
話を聞く時間は実際に3分かもしれませんが、そのあと意見を求められたり、さらに話し合いに発展した場合にかなり時間を使ってしまうからです。「3分だけ」という言葉が使われるたびに、このような状況と言葉の対応が積み重ねられ3分の意味が、「議論ができる十分な時間」という意味に変化するのです。


十分消費された後には「3分だけ」という言葉はもはや、キラーフレーズとしての機能を果たさなくなっているでしょう。同じように、このような言い回しが広く公開された時点で膨大な言語ゲームの状況が作り出されるために、すぐに言葉の意味が変わってしまい、実際には機能しないのではないかと思います。


コミュニケーションが密である現代においては、キラーフレーズの消費が激しくなることが考えられるため、新しいキラーフレーズを絶えず探していくか、自ら作っていく必要がありそうです。しかしながら、「特定の人が話していること」自体も記号であり、このことが「キラーフレーズを使っている」という意味を持つようになると、いくら新しい言葉を見つけても機能しなくなってしまうと思います。



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