「全体のために」働くべきか?

「つまり会社にとって何がベストか?」ということが、最終的には関係者全員にとっての利得を最大化するはず。ゲームのルールを「自分のために」から「全体のために」に変えるだけで、「囚人のジレンマ」から逃れることができる。あなたが本気で勝ちたいなら、そして経済的にも成功したいなら、このルールの変更はなるべく早い方がいい。勝てないゲームに我慢して耐えしのぶのではなく、ルールを変えよう。今日にでも、すぐ。


「勝てないゲーム」なら「ルール」を変えよう――脱「囚人のジレンマ
http://bizmakoto.jp/bizid/articles/0909/29/news031.html


経営者と従業員の戦略における最適戦略は(高く雇う、がんばる)、(安く雇う、がんばらない)となりますが、前者が双方の利益を大きくするために双方が「全体のために」働くべきという内容です。


双方の利益のために行動するということは重要ですが、状況によっては必ずしも正しくありません。考える必要がある状況とは、相手がどの程度こちらと協力する用意があるかということです。これは信用の問題です。そして、信用はゲームの試行回数に依存します。


ゲームが一回きりで終わるとすると(高く雇う、がんばる)という選択は経営者/従業員の双方にとってリスクが高い選択となります。どちらかが裏切れば損失が高くなるからです。そして裏切る側の利益が高くなるため、裏切りの戦略にバイアスがかかります。従って、この場合、リスクが低い(安く雇う、がんばらない)を選択せざるを得ません。ゲームが複数回続けば、(高く雇う、がんばる)を選択する余地が出てきます。裏切られた場合は損失が多くなりますが、しっぺ返しをすることで相手に損失を与えることができるからです。


つまり、繰り返しゲームにすることで「安定的で」最適な戦略セットに(高く雇う、がんばる)が入ってくるということです。従って、繰り返しを多くすること、関係を長期化することが重要ではないかと考えられます。しかしながら、これは雇用の流動化とトレードオフになっているように思えます。


最適な人的価値配分をすることと最適な行動させるということは本質的に相反していて、どこかで折り合いをつけていかなければならないかもしれません。