快楽の檻

彼らの報告によれば、カブトムシの脳の神経を刺激する移植装置を使用することで、カブトムシの動きを開始および停止させたり、飛行中のカブトムシを制御したりできるいう。飛翔筋を刺激することで、飛行する方向を指示することさえできる。


生きたカブトムシをリモコン操作(動画)
http://wiredvision.jp/news/200909/2009092521.html


上の記事はカブトムシですが、「進化しすぎた脳」によると、マウスでも実現しているそうです。
しかも、原理的には人間にも応用できそうです。ポイントは快楽をコントロールする信号です。特定の個体の「感覚」をどうやって知るのかと思ってしまいますが、脳に電極を差してそれをスイッチにつなぎ、脳の持ち主が押せるようにすることで可能となります。


マウスを使った実験では、寝食よりも優先してスイッチをひたすら押し続けるような非常に強く快楽を感じる場所が脳内にあるということです。この電極への電気刺激は「報酬」として機能します。特定の条件での特定の行動に対し、この「報酬」を与えると学習をさせることができます。例えば、右側のヒゲの触覚を刺激するような電気信号を流したときに右側に走ると「報酬」を与えるという操作をされたマウスは右側に走らせることができる「リモコン」になります。


逆説的ですが、「リモコン」になってしまったこのマウスは報酬を得るために「自分の意思」で右に走ります。強制的に操作されているわけではないというのは少し驚きです。


この状況を考えると、自由意志というのは実は報酬系にコントロールされていて、「本当」の自由意志というのはないのではないかと思ってしまいます。映画の中に出てくるゾンビや、寄生虫にコントロールされているカタツムリはもしかしたら、もともとの状態よりも幸せなのかもしれません。


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進化しすぎた脳