スケープゴートとしてのコミュニケーション

では、どうすればよいのか。まずは、あなたの部下に対する姿勢を明確に示すことです。一人ひとりへの声かけを頻繁に行なう、小さなことでも良かったらすぐに褒める、任せていても「何かあったら相談しろよ」と伝える。そんな姿勢を言葉と態度で示すのです。


自己防衛型社員の増殖は上司のせい? 「部下を潰さない」職場の仕組み作り
http://diamond.jp/series/unhappy_middle/10005/


同僚が納期を守らないのも、コントロールできてない自分のせい
仕事を辞められないのも、社長を説得させられない自分のせい


もういいや
http://anond.hatelabo.jp/20090916105720


上記のような問題はほとんどコミュニケーションに関するものと考えられるかもしれません。
就職情報をみると、コミュニケーションと言う文字がやたら多く出てきます。特に頻繁にプロジェクトが立ち上がり、チームが結成され、PL,PMが指名されることが繰り返されていくようなソフトウェア開発ではさらに重要性が高いと考えられていると思います。


集められたメンバーはPL,PMの指示に従ってお互いに協力してプロジェクトを成功させるといった想定をしている企業も多いと思います。何か問題があればコミュニケーションの問題であることがほとんどであるとも考えられているのではないでしょうか。私はこの認識は間違っているのではないかと思っています。


一般的な状況で人間間の関係性を考えたときにGive&Takeが前提になります。協力を引き出すには、こちら側も相手に与える必要があります。商品を買うときにはお金を払う必要があります。強盗が店員にお金をレジから出してもらうときには店員に安全(という認識)を与える必要があります。親が子供をしつけるにあたっては生活を保障する必要があります。


チームを運用するに当たっては互いの協力が不可欠です。とくにPL,PMはメンバに協力してもらう必要があります。協力を得るには何かを与える必要があります。与え方は以下の2通りあるでしょう。

  • (1)本質的な価値を与えること。
  • (2)ペナルティという束縛を前もって作り、それをはずすことで価値を擬似的に作り出すこと。

通常の社会的な組織においては(1)の形をとるべきです。従来の典型的なピラミッド構造の組織では上司は部下に評価という価値を与えることでチームを形成できたと思います。ところが、明確な上司/部下という構造がなく、上司(PL,PM)が十分な価値の分配権限を持たない場合、チームの運用が非常に難しくなってきます。この時に上司が取りうる選択は3つです。自腹を切って価値を作り与えるか、チームの運用をあきらめるか、(2)の方法で「価値」をつくりだすか、です。
(2)の方法を取った場合は、暴力的な職場になったり、陰湿な悪口/噂でコントロールされた職場になったりするのではないかと思います。


問題は、そもそも協力の要請者に与えるものがないということです。組織構造が明確なピラミッドからネットワークに移行するときの過渡期であるのに対し、それに伴った評価システムが構築されていないことが本質的な問題ではないかと思っています。


この場合、責められるべきなのは当事者ではなく、システムの方です。