ContextとCreativity

今日はタイトルが分かりにくいかもしれません。Contextは文脈、何かの前提を意味しています。Creativityは何か新しいモノができることです。この2つには重要な関係があります。


例えば、将棋が好きな人(=Aとする)がいたとします。もう一人将棋が好きな人(=Bとする)がいたとすると、この2人は将棋の話で盛り上がるに違いありません。2人で考えているうちに、なにかすごい将棋の手を見つけるかもしれません。見つけないかもしれません。ここで重要なことは2人は将棋(将棋のルール)を知っているということです。同じ前提のもとで議論が行われるので、その上にさらに新しいモノを作ることができます。


もしも、Bさんではなく、Cさん(←囲碁が好き)だとすると、例えば、
Aさん「囲碁はどういう状態が勝ちになるのですか?」
Cさん「将棋は駒の動きが一つ一つ違って難しそうですね。」
と言う会話で終わってしまいます。2人には共有するルールが無いからです。


AさんとBさんの時は何か新しい考え方が出てきて、AさんとCさんの場合は何も出てこない、ということになってしまいます。これはCさんが悪いわけではなくて、組み合わせが悪いのです。


これは、コミュニケーション可能な2つのものの間に適切に共有するものがあれば何か新しいモノができる、ということです。ただし、AさんとBさんは同じ将棋の知識を共有しすぎていても退屈な話になってしまうかもしれません。なぜならAさんが考えることはBさんもすぐに思いついてしまって話に意外性がなくなるからです。つまり、共有するものが大きすぎてもいけないことになります。


一般的にいうと、適切なContextでのコミュニケーションはCreativityを最大化するといえます。共有するものとしないもののバランスが絶妙なときにCreativityは大きくなります。ある程度、バックグラウンドや価値観、考え方が同じであれば発展的な会話になるのではないかと思います。


人同士の間に限らず、この構造はいろいろなところで見られます。特定言語上でのライブラリ、特定OSの上でのソフトウェア、特定ソフトウェア上でのサービス、特定サービス上でのコミュニティ、特定テクノロジー上でのイノベーション、ITに限らないところで言うと、生態系、思想体系(ミーム)、マーケットなどがあると思います。


イノベーションに関するものは本質的にこの構造をもつと考えられるので、これからの社会ではこの関係性を意識していくことが非常に重要になるのではないかと思います。