CDが売れなくなった理由

日本のCDが売れなくなっているそうです。コピーがネットに出回ってCDを買う人がいなくなったという意見もあるようですが、もう少し大きい変化が背後にあると思います。


ネットが使われ始めて世界の情報に簡単にアクセスできるようになりました。情報の転送速度は増えて海外の情報は文字だけでなく音声、映像など大きな容量を必要とするファイルもやり取りできるようになっています。その結果、世界中のコンテンツにアクセスできるようになり、ネット上に大量のコンテンツが集まるようになりました。


ネット以前では、日本人は日本で作られた音楽を消費してきました。輸入版もありますが、日本のものと比べアクセスが難しい状態だったと思います。それが突然、大量の良質な音楽があふれるようになるとどうなるか。一人の人が消費できる音楽には上限があります。つまり、今まで消費していた日本の音楽に向けられる関心、時間が少なくなるということです。これは、もしも個人のCDにかける金額が昔と変わらなくても、情報がグローバルになることで日本でのCDの売り上げが落ちることを意味します。


これはCD売り上げの競争が日本内でのものから世界レベルでのものになったことを意味します。情報と物の本質的な違いはコピーコストにあります。低コストで高品質な情報が増える方向にバイアスがかかります。音楽を作る側がとるべき戦略は成功したソフトウェア企業がとってきたものと同様です。とにかく高品質なものを最高の人材を集めて作り低コストで世界中にばら撒くことです。


音楽は日本語などのローカルなものに縛られにくく、人間の感覚的な嗜好を基盤とするため比較的早くグローバルな競争に入っているのではないかと思います。もしも言語などのようなローカルな壁が壊されたときにどうなるか。そのときには世界レベルでの「モノを作り出すシステム」の競争になるのだと思います。